滋賀県東近江市にある第一工業製薬の滋賀工場で働いているエンフウヤンガ
滋賀県東近江市にある第一工業製薬の滋賀工場で働いているエンフウヤンガさん
モンゴルでは1990年代以降、母国の産業発展に貢献しようと多くの若者が日本の高専に留学した。卒業生は帰国後に各界で活躍しており、教育大臣になった人もいる。2014年に、首都ウランバートルに国立モンゴル科学技術大学付属高専、私立の新モンゴル高専、モンゴル工業技術大学付属高専がそれぞれ開校した。2019年6月には、1期生として3校で計142人が卒業している。新モンゴル高専の1期生で、2019年8月から滋賀県東近江市にある第一工業製薬の滋賀工場で働いているエンフウヤンガさんが、ドラフトチャンバーと呼ばれる箱状の排気装置で界面活性剤の成分を分析している。化学メーカーや工場で働きたかったが、国内には少なく、日本での就職を希望した彼女は現在の仕事にやりがいを感じているといい、「もっと色々な仕事を覚えて会社に貢献し、資格試験にも挑戦したい」と意欲的だ。同社はもともと高専卒業生を多く採用しており、昨年も新モンゴル高専の卒業生を採用した。 3高専の教育課程は基本的には日本と同じで、学生は日本語学習にも力を入れている。2019年と2020年の卒業者240人中、59人が日本での就職を決めている。東京都品川区は2017年から、技術者不足に悩む区内の製造業がモンゴル高専生をインターンシップで受け入れる事業を展開している。これまでに10人近くの就職が決まっているという。千葉県千葉商工会議所でも、新年度中に同様の取り組みを始める予定だ。 東京都八王子市の全国51の国立高専を設置・運営する国立高専機構は、2016年にウランバートルにリエゾンオフィスを開設した。3高専の教育・研究力強化のため、モンゴル語の教材作成や教員研修などで支援を実施した。日本企業への就職希望者にも支援しています。日本で高専生を対象に開催している「ディープラーニングコンテスト」への3高専合同チームの参加も後押しした。モンゴルの高専を卒業後、日本の高専専攻科や大学に留学する人もいる。愛知県豊橋市の豊橋技術科学大学でも、学部3年に編入学した新モンゴル高専の1期生5人が学んでいる。
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