ゴビ熊マザーライの頭数が増加
ゴビ熊マザーライの頭数が増加している。
4月14日にフレルスフ大統領の発案で「マザーライ(ゴビ・ヒグマ)保護、全国討論会」が政府庁舎で開催された。同討論会では、ゴビ・ヒグマ(Ursus arctos gobiensis)の保護現状、直面する課題、保護対策、絶滅危惧種の保護に関する国際的な経験など4つの議題で討論が行なわれた。自然環境観光省は絶滅危惧の中でも最も絶滅のおそれがある「深刻な危機」に相当する希少動物であるゴビ・ヒグマの頭数を増やし、生息地を保護するために講じた具体的な措置について紹介した。例えば、GPS機能付きの首輪を付けることで広領域に及ぶ生息地の把握が可能となることや、希少動物を保護するために住民参加の必要性についても示した。ゴビ・ヒグマをモンゴル語でマザーライと言う。モンゴル南西部のゴビ砂漠で生息する世界で唯一のクマの亜種である。1920年代初頭、アルタイ山脈西部のアジ・ボグド山で発見され、ロシアの科学者オルロフ氏とソコロフ氏は、ゴビ・ヒグマはクマ科に属すると生物科学事典に登録した。1953年にモンゴル政府はゴビ・ヒグマを保護するため狩猟を禁止した。1960年代からゴビ・ヒグマの研究や調査が開始され、現存する個体数は15~20頭以下と推定された。絶滅危惧となった理由はゴビ砂漠でゴビ・ヒグマの食糧となるサイの根、ジャスミン、ブラックベリー、齧歯類、爬虫類、昆虫などが不足したことが一番の原因である。食糧不足の対策として人工飼料を代替しても、食べ物に敏感であるゴビ・ヒグマはそれらを口にしないとのこと。ゴビ・ヒグマは元々、肉食動物だが、人々に生息地と食料を奪われ、主に砂漠で生存するようになっている。そのため、食料の77%は植物から、23%は小型動物の肉食で構成される。また、土を掘り動物の死骸を食べるため、自然界の消毒及び地下水の掘削機能だけでなく、食物連鎖にも貢献するのだ。1990年代に22頭だけだったマザーライは現在50頭になっている。ゴビ・ヒグマの外観は、ヒグマの外観と似ているが、ヒグマより小型であることが特徴だ。平均体長は168センチ、体重は90キロ。夏期は均一な茶色の毛、冬期と春期は濃い茶色の毛と手首や手ひらに白い斑点があるが、年齢が若いゴビ・ヒグマにはそれらの特徴が見られない。そのため、ゴビ・ヒグマの峻別は困難という専門家の意見もあるそうだ。絶滅危惧と言われているホッキョクグマの頭数は2万2000頭、繁殖困難といわれるパンダの頭数も1400頭だが、それらに比較するとゴビ・ヒグマがいかに絶滅のおそれがある希少動物である。
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