モンゴルの文化や自然遺産について
モンゴルの文化や自然遺産について
モンゴルの世界文化遺産には、オルホン渓谷(2004年)、アルタイ山脈の岩絵群(2011年)が登録されている。また、自然遺産にはウヴス・ヌール盆地(2003年)、ブルハン・ハルドゥン山(2015年)がある。ウヴス・ヌール盆地は、モンゴルとロシアの国境に沿って位置するため、両国が共同で世界遺産に登録した。その中のウヴス湖は、モンゴルで一番大きい湖で、塩湖だ。ウヴス湖の周りには多くの動物が生息しており、1994年に国立保護地域に指定された。ウヴス湖周辺の地域は、アジアの渡り鳥にとってとても重要な役割を果たしている。また、ウヴス・ヌール盆地には、多種多様な鳥、げっ歯類、ユキヒョウ、野生ヤギのヤンギル、野生羊のアルガルなど、珍しい動物が生息しており、これらの生態系を守るうえでもこの湖は重要だ。
2004年に、オルホン渓谷が文化遺産に登録された。オルホン渓谷は、中部アルハンガイ県のホトント、ハシャート郡、ウブルハンガイ県のハラホリン、バト・ウルジー、フジルト郡の12万1967ヘクタールの地域だ。オルホン渓谷は中央アジアの移動民族やモンゴル民族の移動文化の歴史や発展の様子を考古学的、歴史、文化的な面から研究できる重要な場所だ。オルホン渓谷には、旧石器時代から鉄器時代にかけての人々住まいや鉄工場の跡がある。そのほかにも、トルコ時代の王たちが埋葬された墓や石碑、ウイグル帝国の首都ハル・バルガス市の遺跡、大モンゴル帝国の首都カラコルムの遺跡、仏教の中心地であるエルデネ・ゾーやトゥブフン寺院など多くの貴重なものがある。
アルタイ山脈の岩絵群は、2011年に世界文化遺産に登録された。世界的にも大規模な岩絵、壁画の宝庫で絵、モンゴル民族の古代史や人々の生活がよくわかる貴重な資料だ。この岩絵群は、西部バヤン・ウルギー県ツェンゲル郡のアラル・トルゴイ、シベート・ハイルイン、ウラーンホス郡のツァガーン・サラー、バガ・オイラドの岩絵を含む。研究者たちによれば、この岩絵は他国のものと比べ、大きさ、数、技巧の点で優れているという。
この岩絵群は、12000年前の人類の生活を描いたたくさんの岩絵で、3か所の岩絵群から成る。一番古い岩絵は、紀元前11000年から6000年のもので、広い草原で大きな動物を狩っている様子が描写されている。次の代の岩絵には、家畜を放牧している様子が描かれている。また、紀元前100年から紀元後800年にかけての岩絵には、馬に乗り移動生活をする様子が記録されている。岩絵は、中央アジアや北アジアに存在した民族や部族の研究になくてはならないものだ。ロシアは、アルタイ山脈のうちロシア領にある160万平方メートルを1998年、ユネスコに登録した。
自然遺産には、そこに住む動物や少数民族も含まれる。アルタイ山脈に昔から住んでいたといわれるキルギス、オイラド人が生存した証拠も見つかっている。4ヵ国が共同で登録すれば、アルタイ山脈は国際遺産になる。国際遺産になると、ユキヒョウなどの貴重な動物を保護することができる。モンゴルでは、アルタイ山脈を文化と自然が同時に残る遺産ということで、文化遺産と自然遺産で登録した。アルタイ山脈一帯は、生物学的にも多様な種の存在が認められており、専門家だけでなく観光客の注目を惹くことにもなる。
2015年、ブルハン・ハルドゥン山が世界自然遺産に登録された。世界自然遺産条約に加盟している21カ国中17カ国が賛成したという。ヘンティ―山脈にあるブルハン・ハルドゥン山は、チンギスハーンの故郷であり彼の墓があるという伝説があるなど、モンゴルの歴史と深い関わりがある。政府は1992年、この山の周辺12000㎡をハン・ヘンティ―の保護地に指定し、1995年には大統領が、これを国家の崇拝する山とする命令を出すなど、積極的な保護政策が取られてきた。現在でも4年に一度、崇拝行事が実施されている。
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