モンゴル民族の盛大な祭りナーダム
モンゴル民族の盛大な祭りナーダム
モンゴル人にとって、夏真っ盛りの7月に開催される「ナーダム」は、一番思い入れの強い行事だ。11日から15日までは祝日となり、モンゴルの各地方で力士たちをたたえる歌や、競走馬に乗った子どもたちが馬に気合を入れる声、弓矢の音や長唄の音色が響き渡る。7月11日の朝11時、ウランバートルの南部にある中央スタジアムでナーダムの開会式が行われる。スタジアムの入り口から、正装した義勇兵が馬に乗って入場する。先頭には、9頭の白い馬に乗った義勇兵たちが白い旗を掲げている。この旗は、チンギスハーンの時代から国家的な儀式に用いられてきたもので、99頭の白馬の毛で作られている。義勇兵らが9本の旗をスタジアムの中心にある円形の台に立てたあと、大統領が式辞を述べ、国歌の演奏が始まる。
続いて、モンゴル国立民族歌舞団の演奏や、子どもたちによる体操などが披露される。その後、ナーダムで弓矢や相撲などの競技に参加する選手たちが集まり、9本の白い旗に向かってお辞儀をする。開会式が終わると、スタジアムでは相撲が始まり、隣の会場では弓矢とシャガイハルワーが行われる。また、ウランバートルから50キロ離れた「フイ・ドローン・フダグ」では、競馬が行われる。
ナーダム祭りが行われる中央スタジアムは、ウランバートルで最も大きな競技場で、競馬を除く全ての競技がここを中心にして行われる。スタジアムの周りには、露店およびテントを張った食堂が並ぶ。食堂では主にフーシュールが売られ、これを食べることがナーダムの楽しみの一つになっている。フーシュールは1枚1000トゥグルグ（60円）ほど。また、馬乳酒を味わうこともできる。
ナーダム祭りは時代とともに変化しており、数年前からシャガイハルワーが競技に加わった。また、祭りの最中に様々なコンサートやファッションショーが披露され、花火が打ち上げられることもある。
続いて、ナーダムで行われるスポーツ競技について紹介していく。ナーダムで行われるモンゴル相撲、競馬、弓矢は「エリーン・ゴルワン・ナーダム」（男の三大競技）と言われる。これらの競技は、海外でも知られているようだ。
モンゴル相撲は、7000年の歴史を持つ文化の一つだ。モンゴル相撲には、俊敏性、器用さ、持久力、テコの原理などの科学的技法など様々な技術が必要だ。技の数は400を超えると言われている。体重ももちろん重要だが、モンゴル相撲の場合は技の技術が勝敗を分ける。モンゴル相撲では、負けることを「ひざまずく」と言い、手のひら以外の体のどこか一部でも地面に触れたら負けになる。
続いて、弓矢について紹介する。
世界で弓矢が初めて使われたのは、モンゴル初の国家である匈奴だと言われている。当時、馬上から弓矢を用いて狩りをするための訓練を行う習慣があった。狩りをするための道具だった弓矢が、競技として確立されたのは11世紀頃のことだ。13世紀になると弓矢の競技は一層幅広いものとなり、ただ立って射るだけではなく、馬で走りながら的を狙う競技も生まれた。
弓道は部族によってルールも様々だが、現在はハルハ、ブリヤート、ウリアンハイという3種類で競っている。モンゴルの弓は、アーチェリーの2倍も遠いところまで矢を射ることができる。モンゴルの弓道には個人戦と団体戦がある。1チームは12人で構成され、75メートルから80メートル離れた皮製の的めがけて矢を射る。男性の部、女性の部、少年の部という3部門に分かれて行われるが、年齢制限はないため、何歳の射手でも出場できる。そして優勝者には、「メルゲン・ハルワーチ」（弓の名人）という
称号が与えられる。
次は競馬についてだ。ナーダムは、競馬を抜きにして語ることはできない。モンゴルの競馬は5000年の歴史を持っており、馬の調教などの経験が豊かだ。競馬の勝敗は、調教に大きく左右される。ナーダムの競馬は、ウランバートルから50キロ離れた「フイ・ドローン・フダグ」で行われる。コースの長さは12～26キロ。ゴール地点から
スタート地点までみんなで移動し、全員がそろったら回れ右でスタートする。つまり、総移動距離は2倍ということになる。全国各地から集まった人と馬が、ナーダムの半月前からテントを張る。数え切れないほどの人や馬が集まり、最後の調整が行われる。また、人々は各地のお国自慢や馬自慢をしながら、できたての馬乳酒を楽しむ。
競馬の騎手は、だいたい5歳から10歳の子どもたちだ。競技が終わると1位から5位までの馬は表彰される。人々は駿馬の汗に触れると運気が上がると信じている。
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